肩や肘の違和感でトレーニングに集中できない、握り方で効き方が変わると悩んでいませんか。
適切なグリップを知らないと狙った筋肉に効かせられなかったり、手首や肘を痛めるリスクがあります。
本記事ではニュートラルグリップの筋活動や関与筋群、種目別の使い分け、具体的なフォーム手順とトラブル対処法まで丁寧に解説します。
ラットプルやダンベルプレス、ロー系など主要種目ごとのポイントや器具選び、重量設定の基準もカバーします。
フォームの図解や実践しやすい重量目安、テーピングやグローブの活用法、段階的な移行プランも具体例付きで紹介します。
まずは基礎から確認して、無理なく効率的に取り入れる方法を本文で確認しましょう。
ニュートラルグリップの筋トレでの効果と基本

ニュートラルグリップは、手のひらが内側を向く持ち方で、プッシュ系とプル系の多くの種目で利用されます。
この持ち方は肩関節へのストレスを抑えつつ、腕と背中をバランスよく使える点が特徴です。
ここでは筋活動の傾向や関与筋、可動域や力の伝達など、基本的な知識をわかりやすく解説いたします。
筋活動の特徴
ニュートラルグリップでは、前腕の回外と回内の中間位が保たれるため、上腕二頭筋と前腕筋群が協調して働きやすくなります。
引く動作では広背筋や菱形筋の活動が高まりやすく、背中の収縮感を得やすいのが利点です。
また、手首の自然な位置により力を出しやすく、筋肥大や筋力向上の効率が上がることが多いです。
一方で、極端な内旋や外旋を必要とする動作では、可動域の制約を感じる場合があります。
関与筋群
ニュートラルグリップで主に働く筋肉を整理します。
- 広背筋
- 僧帽筋中部
- 菱形筋
- 上腕二頭筋
- 腕橈骨筋
これらの筋群が協調することで、効率的な引く動作が可能となります。
可動域とフォーム安定性
ニュートラルグリップは肩の可動域を比較的自然に保てるため、フォームの安定性が出やすいです。
特に肩の外旋や内旋に不安がある方は、ニュートラルで行うと動作のぶれが減ります。
ただし、種目や個人の構造によっては最大可動域が若干制限されることがあるため、無理に大きな可動域を追わないことが重要です。
力の伝達効率
ニュートラルグリップは手首と前腕のラインが直線に近く、力がスムーズに伝わります。
そのため、グリップロスが少なく、同じ重量でもより効率的に筋力を出せる場面が増えます。
ただし、バーの形状やアタッチメントによっては伝達効率が変化するため、器具選びも重要となります。
握力への影響
ニュートラルグリップは握力への負担が程よく分散されるため、持久的なセットで有利なことが多いです。
グリップ種別 | 握力負担 | 主な特徴 |
---|---|---|
ニュートラルグリップ | 中程度 | 前腕協調性が高い |
オーバーハンド | 高め | 背中の広がり重視 |
アンダーハンド | やや低め | 上腕二頭筋優位 |
表のように、握力負担はグリップによって傾向が変わりますので、目的に応じて使い分けることをおすすめします。
初心者向けの利点
ニュートラルグリップは手首や肩にかかる負担が少なく、フォームを覚えやすい点が魅力です。
安定した軌道で動作を習得できるため、筋力トレーニングの基礎作りに適しています。
また、握力が弱い方でも比較的扱いやすいため、セット数や重量の管理がしやすいメリットがあります。
種目別ニュートラルグリップ一覧

ここでは代表的なトレーニング種目ごとにニュートラルグリップを使った場合の特徴やフォームのポイントを紹介します。
種目ごとに狙える筋肉や注意点が変わりますので、自分の目的に合わせて選んでください。
ラットプルダウン
ニュートラルグリップのラットプルダウンは広背筋の下部に効きやすく、肘が体側を通るため菱形筋や僧帽筋中部にも刺激が入りやすいです。
手のひらが向かい合うグリップは肩関節の負担を軽減しやすく、肩に違和感がある方に向いています。
フォームのポイントは胸を張って肩甲骨を寄せることと、引く軌道を肘で感じることです。
シーテッドロー
シーテッドローでニュートラルグリップを使うと、体幹の安定性が向上しやすく、ロウイング中の力の伝達がスムーズになります。
ケーブルの角度やハンドルの長さによって効き方が変わりますので、違和感が出ないポジションを探してください。
リセット動作を丁寧に行い、伸展時にも肩甲骨をコントロールする習慣をつけると効果的です。
プルアップ
ニュートラルグリップのプルアップは懸垂の中でも負担が比較的小さく、背中全体を自然に使えるのが利点です。
手首と肘の位置が安定しやすいため、初心者や肩痛の既往がある方にもおすすめできます。
- 肩の負担を軽くしたい方
- 広背筋下部を狙いたい方
- 握力の補助が欲しい方
動作はまず肩甲骨を下げて引き始め、顎がバーを越えるまでコントロールして戻すのが基本です。
ダンベルロー
ダンベルローでニュートラルグリップを採用すると、左右差の修正や可動域の拡大が期待できます。
片手ずつ行う際に体幹の固定を意識すると、背筋群への集中力が高まります。
以下の表は代表的なバリエーションと各特徴を簡潔に示しています。
バリエーション | 特徴 |
---|---|
片手ダンベルロー | 可動域重視 体幹補助あり |
両手ダンベルロー | 安定性重視 高重量対応 |
ベンチサポートロー | 背中 isolation 負担軽減 |
ダンベルの握り方をニュートラルにするだけで、肘の誘導が自然になり肩甲骨の動きが出やすくなります。
ダンベルプレス
ダンベルプレスでのニュートラルグリップは大胸筋の外側と三角筋前部のバランスを整えるのに有効です。
手のひらが向かい合う握りは肩の内旋を抑え、関節へのストレスを減らす傾向があります。
胸を張ってダンベルを斜め上に押し出すイメージで動作すると、押し切る力が安定します。
トライセプスプッシュダウン
プッシュダウンをニュートラルグリップで行うと、長頭と外側頭にバランス良く刺激が入ります。
肘を固定して前腕を下ろす軌道を徹底すると、三頭筋への負荷が高まります。
アタッチメント選びで扱いやすさが変わりますので、ロープやストレートバーを試して好みの感触を見つけてください。
ニュートラルグリップのフォーム手順

ニュートラルグリップを正しく使うと、効率的に力を伝えられます。
ここでは具体的な手順と実践的なコツを丁寧に解説いたします。
手幅設定
手幅は種目と体格によって最適解が変わります。
一般的には肩幅前後が基本と考えてください。
動作中の肘の軌道が自然で、肩に不快感が出ない幅を探すのが重要です。
- 狭め 肩幅よりやや内側
- 標準 肩幅と同じ
- 広め 肩幅よりやや外側
セットごとに微調整して、自分に合う握り幅を見つけてください。
手首角度
手首は自然に伸びすぎないよう、中立位を保つのが基本です。
手首が大きく反ったり折れたりすると、力が逃げてしまいます。
ダンベルやアタッチメントを使う場合は、手首が直線に近くなる握り方を意識しましょう。
肘の向き
肘は種目に応じて体側に近づけるか、やや外側に向けるかを決めます。
引く動作では肘を体側に引き寄せると広背筋に効きやすいです。
押す動作では肘をやや前方に向けると肩関節の負担が減ります。
肩甲骨の固定
肩甲骨の安定はニュートラルグリップの効果を最大化します。
動作開始前に軽く肩甲骨を寄せてから動かしてください。
上がってしまう癖がある方は、肩を下げる感覚を持つと改善されます。
動作軌道
ニュートラルグリップでは直線的で自然な軌道を目指すとよいです。
無理に広い振りをすると負担が増えるので注意してください。
スムーズな往復を保ち、反動を使いすぎないようにしましょう。
呼吸のタイミング
呼吸を整えるだけで力の発揮が安定します。
一般的な目安は力を出す局面で息を吐くことです。
フェーズ | タイミング |
---|---|
準備 | 息を吸う |
力を出す局面 | 息を吐く |
戻す局面 | 息を吸う |
呼吸は大きく深くを意識しつつ、動作と同期させてください。
注意点とトラブル対処

ニュートラルグリップは多くの種目で安全性と効率を高めますが、使い方を誤ると痛みや不調につながります。
ここでは手首や肘、肩などの代表的なトラブルへの対処法と予防策をわかりやすくまとめます。
手首痛
原因としては手首の過屈曲や過伸展、同じ角度での反復負荷が多いです。
まず痛みが出たらその動作をすぐに中止し、安静とアイシングで炎症を抑えてください。
ニュートラルグリップ自体は手首の中立位を保ちやすく、負担軽減に有効なことが多いです。
それでも痛みが続く場合は手首の角度を微調整して、ダンベルやアタッチメントで握り方を変えてみることをおすすめします。
リハビリとしては手首の屈筋と伸筋の軽いストレッチとアイソメトリクスから始めて、徐々に負荷を増やすと良いです。
症状が強い場合やしびれが出る場合は整形外科や理学療法士に相談してください。
肘痛
肘の痛みは肘関節周囲の腱にかかるテンション増加やフォームの崩れが原因になることが多いです。
特に肘を外側に開き過ぎたり、肘の軌道が不自然になる動作は負担を増やします。
対処法としては使用重量を落とし、可動域を制限して痛みの出ない範囲で動かすことが重要です。
肘周りのアイシングと負荷の段階的な復帰、そして前腕の筋力バランス改善を行ってください。
肘サポーターやテーピングで圧迫と支持を行うと症状が和らぐ場合があります。
痛みが長引く場合は腱炎や関節障害の可能性があるため専門医での診断を受けることをおすすめします。
肩の違和感
肩の違和感は肩甲骨の動きが不十分なことや、挙上時にインピンジメントを起こしていることが原因になりやすいです。
ニュートラルグリップは肩の外旋を促しやすく、場合によっては痛みを軽減しますが万能ではありません。
フォームとしては肩甲骨をしっかり引き下げる意識を持ち、過度な挙上や前方へのスウェイを避けてください。
ローテーターカフと肩甲骨周囲筋の強化を継続的に行うことが再発予防に繋がります。
違和感が鋭い痛みや可動域制限を伴う場合は無理をせず、整形外科や理学療法士に評価してもらいましょう。
グリップ滑り
グリップが滑るとフォームが崩れ、怪我のリスクが高まります。
滑り対策は種目や好みによって選ぶと良いです。
- チョークを使う
- リフティングストラップを使用する
- 滑り止め付きグローブを着用する
- バーやハンドルのテクスチャを変更する
チョークは汗を抑えて摩擦を上げる即効性のある方法です。
ストラップは重量を扱う場面で握力の限界を補助し、背中や脚の負荷を高めたいときに有効です。
一方でストラップやグローブを常用すると握力の発達を阻害することがあるので、目的に応じて使い分けてください。
負荷過多の兆候
過負荷を放置するとパフォーマンスの低下や長期の故障につながります。
兆候 | 対処法 |
---|---|
持続する痛み | トレーニング量の一時中止と診察 |
可動域の制限 | 動的ストレッチと段階的回復 |
慢性的な疲労感 | 休息の追加と負荷調整 |
上の表に当てはまる症状が複数見られる場合は、計画的な休養と専門家の判断を優先してください。
トレーニング日誌をつけて痛みや疲労の変化を記録すると、早期発見がしやすくなります。
器具選びとグリップ調整の実践

ニュートラルグリップを実践する際は、器具選びと細かなグリップ調整が結果を左右します。
最適なバーやダンベルを選び、必要に応じてアタッチメントやテーピングで補うことで、効率的に狙った筋群を刺激できます。
ラットバーの種類
ラットプルやケーブル種目で使うバーは形状で得られる刺激が変わるため、用途に合わせて選ぶと良いです。
種類 | 主な特長 |
---|---|
ニュートラルバー | ハンドルが平行で手首負担軽減 |
ワイドラットバー | 広背筋上部に刺激 |
Vバー | 引き寄せやすく収縮を強化 |
上の表を参考に、目的が手首の保護ならニュートラルバー、より広背筋の外側を狙うならワイドバーが向いています。
ダンベルの選定
ダンベルは形状とグリップ径が重要で、ニュートラルグリップを取る際にはグリップが太すぎないものを選ぶと安心です。
ヘックス型は床置きや安定性に優れ、ラウンド型は握り心地が滑らかですから、使用シーンで使い分けてください。
可変式ダンベルは自宅トレーニングで重量調整が簡単にできるので、段階的な負荷管理に便利です。
また、グリップの質感がツルツルだと滑りやすいので、適度なノンスリップ加工のあるダンベルを選ぶと安全性が高まります。
アタッチメント活用
ケーブル種目では、アタッチメントを変えるだけでニュートラルグリップの効果を調整できます。
- ロープアタッチメント
- Vバー
- ニュートラルグリップバー
- シングルハンドル
例えばロープは収縮時の追込みに向き、Vバーは安定して引けるという違いが出ますので、目的に応じて切り替えてみてください。
テーピングとグローブ
手首や母指球のサポートが必要な場合は、テーピングで局所を補強するとフォームを維持しやすくなります。
パッド付きのトレーニンググローブは握力の疲労を軽減し、セット最後まで質を保ちたいときに役立ちます。
ただし、過度に補助すると握力自体の強化機会を失うことがあるため、目的に合わせて使い分けるのが望ましいです。
重量設定基準
ニュートラルグリップは握力が先に疲れる場合があるため、重量設定は目標の反復回数と握力の限界を踏まえて決めてください。
一般的には筋肥大を狙うなら8〜12レップを基準に、初心者はやや軽めでフォームを固めることを優先すると良いです。
段階的な負荷増加は週ごとの重量上げやレップ数増で管理し、RPEで強度を把握する方法も有効です。
握力がボトルネックになる場合は、グリップ補助を使うか、握力強化種目を併用してバランスを取ってください。
導入と段階的な移行計画

ニュートラルグリップは肩や肘への負担を抑えつつ、背中や上腕の筋力を効果的に鍛えられるため、導入は有益です。
導入時は軽めの重量で動作を確認し、鏡やトレーナーでフォームをチェックしてください。
初めの2〜4週間は重量を控えめにして、正しい可動域と肘の軌道を習得することを優先します。
その後は週ごとに5〜10%ずつ負荷を増やす、もしくは回数を段階的に伸ばす方法がおすすめです。
並行して前腕や肩甲帯の補強を行い、握力が弱ければ補助種目を加えてください。
異常な痛みや違和感が出た場合は直ちに中止し、必要なら医療機関や専門家に相談してください。