ラウンド中に突然カラスや水辺の鳥が集まってきてショットに集中できなかったり、大切なグリーンがフンで汚れてがっかりした経験はありませんか。
見た目以上に鳥はコースに影響を与え、排泄物による汚損や芝の採食、水場の富栄養化、バンカー掘削といった多様な被害を引き起こします。
この記事では、よく見かける種の特徴とプレー中に起きるルール上の扱い、ゴルフ場やプレーヤーが取り得る具体的な対策をわかりやすく整理してお届けします。
カラスやカモ、サギ、ヒヨドリからウグイスやキジまでの見分け方と被害パターン、施設側の防除策や個人が現場でできる対応を網羅しています。
まずは安全で快適なプレーを守るための実践的な対処法を本文で詳しく解説しますので、続きをご覧ください。
ゴルフ場でよく見かける鳥
ゴルフ場は広い芝地と水辺が共存するため、多様な野鳥が集まります。
美しい景観を作る一方で、プレーに影響を与えることもあるため、種類ごとの特徴を知っておくと便利です。
カラス
カラスはサイズが大きく、群れで行動することが多い鳥です。
ボールをついばむことや、グリーン上で食べ物を探すために立ち入ることがあります。
知能が高く、袋やカートの中の小物を狙うこともあり、落とし物や置き忘れの管理が重要です。
カモ
カモは池やクリーク周辺でよく見かけます。
水辺を好むため、フェアウェイ脇の水場に長時間滞在することが多いです。
人に慣れる個体もいる一方で、営巣期は警戒心が強くなるため配慮が必要です。
サギ
サギ類は長い足と首を使って浅瀬で餌を捕る姿が印象的です。
魚や両生類を捕食するため、水場の生態系に密接に関わっています。
その存在は景観に風情を加えますが、時に水域の利用に影響を与えることがあります。
ヒヨドリ
ヒヨドリは中型で、果実や花の蜜を好む習性があります。
植栽の実を食べるため、果樹やベリー類を栽培しているゴルフ場では被害が出ることがあります。
鳴き声が大きく、早朝や夕方に目立つことが多いです。
ツバメ
ツバメは素早い飛行と独特の飛翔経路でインパクトゾーン付近を飛ぶことがあります。
春から夏にかけて巣を作るため、建物周辺での観察機会が増えます。
- 高速で飛ぶ小型の鳥
- 軒先や橋げたに巣作り
- 昆虫食で害虫抑制に貢献
ウグイス
ウグイスは早朝に澄んださえずりを響かせ、春の訪れを感じさせる鳥です。
茂みや林縁を好み、目立たないが存在感のある存在です。
| 特徴 | よく見かける場所 |
|---|---|
| 小型で緑褐色の羽 | 茂み林縁 |
| 美しいさえずり | 早朝のフェアウェイ周辺 |
その鳴き声はプレーの合間に癒やしを与えてくれますが、茂みでのボール捜索時には注意が必要です。
キジ
キジは鮮やかな羽色を持つ大型の地上性の鳥です。
フェアウェイやラフに降りていることがあり、特に早朝や夕方に見かけやすいです。
巣やひなを守るために親鳥が攻撃的になることもあり、安全面の配慮が必要です。
鳥が引き起こすコース被害の種類
ゴルフ場では鳥によるさまざまな被害が発生し、景観やプレー環境、維持管理コストに影響を与えます。
被害の特徴を把握し、優先順位をつけた対策を講じることが重要です。
排泄物による汚損
鳥の排泄物はグリーンやティー、カート道、クラブなどに付着し、美観を損ないやすいです。
酸性の排泄物は芝の表面を傷めたり、舗装を劣化させたりすることがあり、放置すると補修費用が増加します。
また、歩行やカート走行時に滑りやすくなり、安全面のリスクにもなります。
| 影響箇所 | 主な対策 |
|---|---|
| グリーン表面 ティーグラウンド |
定期清掃 表面洗浄 |
| カート道およびパーキング | 高圧洗浄 防汚コーティング |
| 設備類とベンチ周辺 | 養生シート設置 忌避対策 |
芝の採食被害
カモや一部の小鳥が芝をついばんで採食することで、部分的に芝が剥げる被害が出ます。
特に若い芝や種まき直後の箇所が狙われやすく、育成不良を招く場合があります。
被害箇所は凸凹になり、球のライに影響するためプレー品質に直結します。
防護ネットやフェンスで侵入を防ぐ他、害鳥が好む餌を減らす管理が有効です。
水場の富栄養化
池や水路に集まる鳥の排泄物は窒素やリンを供給し、水の富栄養化を促進します。
富栄養化が進むと藻類の異常繁殖やアオコ発生が起き、景観と水質が悪化します。
酸素欠乏による魚類の大量死や、蚊の繁殖場となるリスクも高まります。
対策としては水質改善設備の導入や周辺植生の整備、定期的な汚泥除去が重要です。
バンカー掘削
一部の鳥は砂利や砂を掘る習性があり、バンカーの縁や底を掘られることがあります。
掘削によりバンカー形状が崩れ、ラインが不規則になってプレーの公正性が損なわれやすいです。
修復作業が頻発すると管理負担とコストが増大します。
- 穴の埋め戻し作業
- 砂の補充と整形
- バンカー縁の補強
- 忌避用カバーの設置
巣作りによる設備破損
鳥は灌漑設備の配管や電気配線、機械の隙間に巣を作ることがあり、詰まりや断線を招きます。
巣材や糞が原因で散水不良や誤作動が起きると、芝の乾燥や過湿を引き起こしやすいです。
クラブハウスの軒下やカート格納庫での巣作りは衛生面の問題にもつながります。
定期点検と早期の巣撤去、巣作りを防ぐ物理的対策が被害軽減に有効です。
プレー中に生じる鳥関連のルール上の扱い
ゴルフ中に鳥が関わるトラブルは珍しくなく、ルール上の扱いを知っておくと安心です。
ここではよくあるケースごとに、実務上の対応とプレーヤーが取るべき行動をわかりやすく説明します。
鳥によるボールの持ち去り
鳥がボールをついばんで持ち去った場合は、通常「外的要因による動き」として扱われます。
元の位置が明らかであれば、その位置にボールを戻してプレーを再開できますが、必ずルール委員や同伴者に一報入れてください。
持ち去られてボールが見つからないときは、プロビジョナルボールを打っておくのが実務上の安全策となります。
紛失が確定した場合はストロークアンドディスタンスの扱いになる可能性が高いので、事前にルールの確認をしておくと良いでしょう。
- まず同伴者に知らせる
- 元の位置を確認してマーキングする
- プロビジョナルボールを打つ
- コース係員に報告する
飛翔中の鳥への衝突
ボールが飛翔中の鳥に当たった場合は、一般に外的要因による影響として扱われます。
結果としてボールが止まった場所がホールインした場合は、それが有効になることが多い点に注意してください。
| 状況 | 一般的な扱い |
|---|---|
| ボールが飛んでいる鳥に当たった | ボールをそのままプレーする |
| ボールが鳥にぶつかり元の位置に戻った | 元の位置に戻してプレーする場合がある |
| 鳥がボールを持ち去って見つからない | プロビジョナルボールを使用して処理する |
とはいえ、鳥を傷つけてしまったり、危険な状況が発生した場合は速やかにコーススタッフに連絡してください。
また、証拠保全のためにスマートフォンで状況を撮影しておくと、後の確認がスムーズになります。
ボール位置の無断変更
鳥によりボールが移動したり転がった場合は、プレーヤーが故意に位置を変えた扱いにはなりませんので、原則として元の位置に戻してプレーします。
グリーン上で鳥がボールをつついて位置が分かりにくくなったときは、マークと確認を行い、同伴者の立ち会いのもとで処置してください。
第三者や他のプレーヤーがボールを故意に動かしたと判断される場合は、競技規則に基づく処理が必要ですので、ルール委員に速やかに相談してください。
位置を戻す際は、元の痕跡が不明瞭でも観察証言や撮影記録を参考にして、できる限り公正に判断することが重要です。
ホールインワン時の鳥干渉
ホールインワンの瞬間に鳥が干渉してボールの軌道が変わり、結果的にカップインした場合は、その打球は有効とされることが一般的です。
逆に、静止していたボールを鳥がつついてカップに落としたような場合は、外的要因による移動としてホールインにはなりませんので注意が必要です。
記録や記念を残す際は、同伴者の証言や映像で状況を確認し、クラブの運営ルールに従って証明を整えてください。
また、ホールインワン後の祝杯やセレモニーに関してはコースごとの慣例がありますので、衛生面や周囲への配慮を忘れずに行動してください。
ゴルフ場が行う効果的な鳥害対策
ゴルフ場では鳥害を放置すると景観やプレー環境に大きな影響が出ます。
ここでは施設側が実際に導入している具体的な対策を、目的別にわかりやすく解説いたします。
ネット防護
ネット防護は物理的に鳥の侵入や落下を防ぐ基本的な手段です。
池周りやティーイングエリアの上空、グリーン周辺に張ることで、ボールの被害と鳥の落鳥事故を同時に減らせます。
耐候性の高い素材を選び、視認性に配慮した色や目合いで設置することが重要です。
防鳥糸設置
防鳥糸は着地を好む鳥の習性を利用し、着地を抑制するための比較的低コストな対策です。
フェアウェイの一部やバンカー縁など、鳥が止まりやすいラインに張ることが多いです。
可動式にして繁殖期などの配慮を行うと、環境負荷を抑えつつ効果を維持できます。
音響忌避装置運用
音響忌避装置は鳥の嫌がる鳴き声や低周波を不規則に流して定着を防ぐ方法です。
設置場所や時間帯を調整することで、周辺住民への配慮と効果の両立を図れます。
ただし、同じ音に馴れて効果が薄れることがあるため、音源や間隔を定期的に変える工夫が必要です。
餌場管理
餌場管理は鳥を引き寄せる原因を根本から断つための重要な施策です。
ゴミや残飯の管理を徹底し、餌付けをしないルールの周知徹底を行うことが基本になります。
- ゴミ箱の密閉化
- 残飯の速やかな回収
- 利用者への餌付け禁止の掲示
- スタッフによる定期清掃
水場改良
水場はカモ類やサギ類が集まりやすい場所で、デザイン次第で魅力度を大きく変えられます。
浅い斜面や流れをつくり、止まりやすい岸辺を減らすことで滞在時間を短くできます。
エアレーションや魚類の導入で富栄養化防止と生態系バランスの改善を図ることも有効です。
巡回と監視強化
定期的な巡回と監視は早期発見と迅速な対応につながり、被害拡大を抑えます。
記録を残して対策の効果を評価し、必要に応じて手法を見直すことが大切です。
| 項目 | 内容 | 担当 |
|---|---|---|
| 日常巡回 | コース全域確認 | 現場スタッフ |
| 重点点検 | 水辺とグリーン重点 | 管理責任者 |
| 記録管理 | 被害状況の保存 | 事務局 |
これらの対策を組み合わせることで、鳥害の発生頻度と影響を効率的に抑えられます。
一方で過度な排除は生態系へ悪影響を与えることがあるため、持続可能な運用を心がけることが求められます。
個人プレーヤーができる鳥トラブルの対処
プレー中に鳥が関わるトラブルは珍しくありません。
安全に配慮しつつ、コースや鳥への影響を最小限にする対応が求められます。
ボール回収時の安全確保
ボールを回収する際は、まず周囲の安全を確認してください。
フェアウェイや林縁で鳥が近くにいるときは、距離を置いて様子を見ることをおすすめします。
鋭いくちばしや翼で人が傷つくこともあるため、無理に近づかないでください。
鳥と接触した際の対応
もしボールが鳥に当たったり、鳥と接触した場合はプレーを一時停止して状況を把握してください。
鳥が負傷しているようなら、すぐにキャディーやゴルフ場スタッフに連絡してください。
素人判断で捕まえようとするとさらに傷つける恐れがありますので、専門の対応を仰いでください。
ボールに汚れや羽毛が付着しているときは、プレー規則に基づいた処置を行ってから続行しましょう。
クラブ・バッグの保管管理
バッグやクラブを無造作に置くと、好奇心の強い鳥がつついて被害が出ることがあります。
プレー中はバッグのポケットを閉め、餌に見えるものは見える場所に置かないでください。
ラウンド後の保管も含めて、鳥害を防ぐ習慣を身につけると安心です。
| 推奨 | 注意点 |
|---|---|
| バッグのポケットを閉める | 飲食物を露出させない |
| クラブを立てかけない | 地面に置きっぱなしにしない |
| 緊急時はスタッフに相談 | 無理な捕獲をしない |
観察時のマナー
鳥を観察するのは楽しい行為ですが、プレーや鳥の安全を第一に考えてください。
近づきすぎず、静かな行動を心がけることでトラブルを避けられます。
- 静かに遠くから観察
- フラッシュ撮影をしない
- 餌付けをしない
- 他のプレーヤーの邪魔をしない
持続可能な管理と快適なプレー環境の両立
ゴルフ場の鳥害対策は、生態系保全と利用者の快適性を同時に考えることが重要です。
化学薬品の使用を最小限にし、在来植生や水辺の改善で自然の抑制力を高めることで、長期的なコスト削減と環境負荷低減が期待できます。
施設側の巡回やモニタリングを継続し、効果をデータで評価することが成功の鍵となります。
プレーヤー向けにはマナー啓発や簡単な対応マニュアルを配布し、協力を得る仕組みを整えてください。
地元の生態系専門家や行政と連携し、持続可能な管理計画を定期的に見直すことをおすすめします。
こうした取り組みが、自然と共生する魅力的なプレー環境を守ります。

